ドライアイス洗浄
剥離の原理
グリーンテックジャパンと
GT-110Mの「誕生」について
モノづくりで培われた技術を整備業界にも
現在のグリーンテックジャパンは、モノづくりの製造業で各分野への量販に成功し、ドライアイス洗浄が一般的な洗浄方法として認識されるまでになりました。私たちが創めたばかりの20年前の欧米では人気だった「ドライアイスブラスト」が日本ではまだ無名でした。環境にやさしく、母材を傷つけず、噴射したドライアイスは無くなり、強力な洗浄能力の「ドライアイス洗浄」としてならきっと日本で喜ばれるだろうと思い、当時社員2名のベンチャー企業でしたが、この洗浄機をドイツ発祥のグリーンテック社から日本へ持ってくることにしました。 日本の工業界では、ドライアイス洗浄の特長が当てはまり、更に硬い新素材や目に見えない小さな付着物の剥離、24時間稼働でも故障しない洗浄機が求められました。ドイツでは、言葉の壁や考え 方の違いでこれらを上手く伝えることにいつも苦労の連続でした。それでも改良とモデルチェンジを繰り返した結果、完成形となり日本仕様が世界標準モデルとなりました。 当時を思い返すと若かった私たちにはなぜか諦めるという言葉はなく、無我夢中で日本のお客様とドイツを繋いだことが良かったと感じております。 私たちはこの洗浄機をもっと日本の皆様に知って見てもらいたい思いから、全国を無料キャラバンでデモしています。お陰様で全国無料デモは製造業と整備業含めて20年のデモ累計は10000件を超えることが出来ました。 是非、整備業界の皆様に於かれましてもドライアイス洗浄を知って見てもらい、製造業のお客様のように皆様のお役に立てればと願っております。
オートサービスショー2019で新発表
オートサービスショー2019(東京ビッグサイト)では、GT-110M(メンテナンス)新発売の発表をさせていただきました。現在、お客様ならびに販売店の皆様のお陰で販売は順調です。これから私たちはGT-110Mで整備業の皆様に貢献できるよう頑張っていきます。
ブラスト力ではなく、瞬間冷却による熱収縮と
気化する体積膨張力
ドライアイス洗浄の剥離の原理は、サンドブラストのような研磨力やブラスト力ではありません。ドライアイスの粒は、指で押し潰すと粉々になるほどの柔らかさで、洗浄物を傷つけにくいのが特長です。ドライアイスの特長「-79°C」と「固体から気体へと昇華する」2つの力で剥がします。写真をご覧下さい。油汚れと洗浄後の境が鮮明に分かれています。これがドライアイス洗浄独自の効果になります。
ドライアイス + エアーの力で洗浄能力を引き出す
ドライアイスの特長の「剥離の原理」を使うと、洗浄結果は剥離するか・しないのどちらかになります。その中間の洗浄が出来ないところが他の洗浄になく、面白くもあります。
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01熱収縮力
ノズルからエアーと少量のドライアイスが高速噴射されます。-79°Cにより付着物が瞬間冷却するのに対し、洗浄物の母材が常温を保とうとします。そこで付着物と母材の温度差により、付着物に熱収縮でクラックが発生しもろくなります。
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02体積膨張力
もろくなったクラックの隙間にドライアイスが次から次へと入り込みます。瞬間で固体から気体へと白い煙になり無くなります。この昇華時に約750倍の体積膨張が発生して、付着物を剥がし取ります。
※アンダーコート洗浄
洗浄テクニックのポイント
「剥離の原理」をイメージしながら、
ノズルを素早く動かすことで
洗浄作業効率がアップします。※剥離の原理が起こる前にノズルを焦って早く動かしてしまうと剥離できません。
これが「ドライアイス洗浄3秒間の洗浄方法」
この3秒間洗浄方法で大きく作業効率が変わります
弊社の検証結果では、「熱収縮力と体積膨張力が起こる時間は約3秒以内」 ドライアイス洗浄は、高圧水洗浄やサンドブラストのような圧力やブラスト力ではないため、時間を掛ければ効果が増すものではありません。熱収縮力と体積膨張力のピークは一瞬で訪れます。その剥離の瞬間を待ってから次の新しい付着物へと素早くノズルを走らせます。そして、一度洗浄し た箇所は再度洗浄しないよう一筆書きまたは、順に筆で掃くようにノズル角度をつけて剥離する瞬間を見極めて動かします。この剥離の瞬間の見極めは一度洗浄した人ならきっとお解りいただけると思います。例えば、高圧水洗浄のようにノズルを広範囲に素早く動かしてしまうと、熱収縮力と体積膨張力が分散して綺麗になりません。 この3秒間を上手く使いこなすことで、洗浄したい物が付着なのか?それとも付着に見える金属の素地(金属の腐食・化学変化・傷や凹み・溶着・焼け)なのか?判断できるため、次の洗浄箇所へと移ることができます。この判断が素早く出来るようになれば、熟練技術者の証となり、洗浄時間短縮やドライアイス使用量が少なくなります。
最も優れた才能「オイル・グリス」の脱脂力
最終仕上げの洗浄のため、パーツクリーナーは不要
例えば、アルミエンジンブロック外側表面の凹凸の中にオイル・グリスが付着すると溶剤とウエスを使っても完全に拭き取ることは厳しいです。ドライアイス洗浄なら、アルミの凹凸の中まで入り込み、エアーの力で掻き出すように油を完全脱脂するのでアルミ本来の素地の色が瞬間で蘇ります。 仕上りは、顕微鏡で確認しても油分の残りはありません。防錆剤(油系)の場合も同じく瞬間で綺麗になります。オイル・グリスや防錆剤には、潤滑寿命や耐用年数があります。劣化した油をそのまま使い続けると本来の性能が出なくなるため定期的に塗りなおす必要がありますが、ここでドライアイス洗浄がこれまでの作業時間を短縮し、劣化したオイルなどを完全除去します。洗浄後は、完全脱脂もしているためマスキングテープがしっかり貼れるほどです。
新しい発想「錆の防食対策」
ドライアイス洗浄が、金属の腐食を遅らせ、強度不足を減らします
弊社は、鉄道車両の錆洗浄に携わり10年になります。これまで積み重ねてきた経験と実績から、自動車メンテナンスでも、皆様のお役に立てればと思い、独自のドライアイス洗浄の防食対策技術のご紹介をさせていただきます。年々進化してきている防食材料メーカー様の新商品とのマッチングにより防食材料の性能を発揮し、強固な皮膜を形成して、錆の進行を遅らせることにも力を入れていきたいと考えております。
- 赤錆の除去ならエアーブロー感覚で洗浄出来る
- ブラストではないので金属の強度不足の心配がない
- 鉄粉の粉と油分が全て無くなる
- 電気を使わないエアーツールのため丈夫で壊れにくい
- 振動工具ではないので1日洗浄出来る
- ドライアイスを入れてスイッチONするだけの簡単操作
鉄錆の発生原因について
鉄の原料は鉄鉱石(酸化鉄)で、鉄鉱石から酸素を取り除いて作られます。鉄は酸化して元の酸化物に戻ろうとする現象が、一般的に「サビる」と言うことになります。鉄の表面に酸素と水があるとき、化学反応によって表面から浸食される現象を「腐食」と言いますが、この腐食によって溶け出した鉄、酸素、水が結びついて「錆」になります。
更に、鉄につく錆には、大きく分けて赤錆(Fe203)、黒錆(Fe304)があります。赤錆は錆自体が赤みかかっているもので鉄そのものを腐食させ、ボロボロにしていく性質があります。黒錆は自然に発生するものではなく、製鉄の製造工程で鉄の表面にできる酸化膜で黒錆(黒皮・ミルスケール)ができると赤錆の発生を抑えることが出来ます。このため良性の錆とも言われ、意図的に鉄の表面に「酸化膜」をつくり、その膜で錆から保護する役目もあります。
私たちは全国の鉄道車両の鉄粉・錆落しに携わって10年の実績
自動車ボディフレームの道路凍結防止剤による錆について
特に多雪地域に多く見られる自動車下部の錆の主な原因は、道路凍結防止剤の塩化物の吸湿性物質によるものです。この吸湿性物質は水分を含みやすく乾燥しにくいのが特長です。これにより鋼材表面が濡れると水膜が形成され赤錆が発生し、鋼材との隙間に薄い水膜が形成され濡れ時間が長くなり腐食が進行しやすくなります。更にこれを放置すると何十層にも重なり見た目地層のようになってしまいます。この厚い錆の層をエアーハンマーで叩き割ると見た目綺麗に落とせますが金属の厚みが薄くなり金属の強度不足になってしまいます。
この対策としてドライアイス洗浄は、金属研磨せず表面層の赤錆、塩化物、水分をドライな状況で洗浄することが出来るのが最大のメリットです。錆の原因となる濡れ時間を減らし、錆の層を増やさないようにします。
もし赤錆と塩化物が残置された状態で塗替え塗装が行われると、塗装の付着性が低下するばかりでなく、塗装表面化の塩化物で塗装下腐食が発生してしまいます。なるべく塗装下腐食が軽微な初期段階でドライアイス洗浄することをお薦めします。
ドライアイス洗浄で鉄錆の進行を抑えて強度を維持します。
弊社は以下の疑問の解決に取組んでいます。
- ドライアイス洗浄で錆の原因である赤錆の腐食を剥離して、錆になるまでの工程を更に遅らせることが出来るのではないか?
- 錆落し方法の代表的な研磨やハツリを減らすことで、鉄の肉厚を極力変えずに強度不足にならないようすることが出来るのではないか?
- ドライアイス洗浄で黒錆(良性の錆)を残し、赤錆(鉄粉)や油分を完全剥離した後で、薬剤の「錆転換剤」を塗布して化学変化を起こします。もし酸化膜を鉄の表面に作り出すことが出来れば防錆の効果を発揮して、更に鉄の強度を維持出来るのではないか?
- カップワイヤーブラシやエアーハンマーなどの使用による振動障害予防になるのではないか?
- シャーシブラック、アンダーコートなど防錆剤塗布後の効果も大きくなるのではないか?
- ドライアイス洗浄で赤錆や油分の剥離が得意なことから、新しい薬剤や塗料の研究開発に役立つのではないか?
新たな発想を用いてドライアイス 洗浄することにより、防錆対策を貢献できると考えています。
強度不足にならないよう赤錆の下の黒錆(酸化被膜)を残すことも大切。
高品質な中古車再生とカーディテイルについて
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01プラスチック・ゴム部品最初からDRYな仕上げ洗浄のため、洗浄後のエアーブローや艶出し材が不要
洗浄物の素材が、金属だけでなくゴムやプラスチックの洗浄も可能です。付着物を完全剥離するため下地の本来の自然な色が蘇ります。ドライアイス洗浄は最終の仕上げ洗浄でもあるため、艶出し仕上げ材による目隠しは不要になります。 例えば、エンジンルーム内には黒色のプラスチック、ゴム部品がたくさんあります。これまでの洗浄方法の場合、どうしても付着物の残留があるため、色ムラが出来てしまいます。そのため上から艶出し仕上げ材を塗布して黒光りを強調させます。しかし、これでは完全除去出来ていないため、白いウエスで拭き取ればウエスは茶色くなります。ドライアイス洗浄後、マットな製品本来の色(※)に戻ります。洗浄後は、艶出し仕上げ材のような油分がないため、汚れも再付着しにくく、綺麗な状態を維持し易くなります。
※ヘッドライトの黄ばみ(風雨や紫外線による樹脂の劣化)は、付着物ではないため洗浄効果がありません。
汚れを剥離して、素材本来の色と風合いを取り戻すドアミラーの洗浄左)洗浄前/右)洗浄後 -
02布シート繊維の中の汚れを掻き出す効果
傷をつけずに優しく、頑固な油汚れも洗浄することが出来るドライアイス洗浄なら、合成繊維(プラ スチック製)で出来た布シートも洗浄することが可能です。布シートは、大変デリケートなため、強力にドライアイス洗浄してしまうと劣化した繊維が切れてしまい、中の汚れを剥離することが出来ません。そこで開発したのが布シートも洗浄出来るオプションのスクランブラーセットになります。 米粒大のドライアイスを傷つけない適切なサイズのドライアイスパウダーにすることで繊維の中までパウダーが入り込み、汚れを押し込むことなく外へ掻き出すように剥離することが出来ます。大切なのはパウダーの大きさの最適化、洗浄機の設定、洗浄テクニックと仕上げテクニックを上手く組合せることで誰でも簡単に洗浄することが可能になります。誤った方法で洗浄をするとシート下のウレタンまで粉々に傷つけてしまい、ウレタンが凹み形状が変わってしまいます。冷却力が強すぎるとシートが凍りつき、結露水がウレタンに溶け出し、汚水が染み込みカビや臭いの原因となり逆効果です。
この布シート洗浄を上手くするために長年研究を重ねてようやく今の方法を完成しました。この洗浄方法は、しっかり教育させていただきますのでご安心ください。※革、アルカンターラ、ルーフライニング(内装の天井)への洗浄は出来ません。
※フロアマット、床カーペット、ゴムマットの洗浄は可能です。シート洗浄中 ※洗浄映像もご覧ください。布シートの洗浄左)洗浄後/右)洗浄前車の中の臭いは、シートの汚れが大きな原因この写真の事例は、特に汚れているシートではなく、標準的なファミリーカーに見られる汚れです。 一番多い原因は食べ物(油分)によるものです。食べ物がシートに落ち、体重による摩擦で奥に押されて繊維の中まで入り込みます。ウエットティッシュで拭き取っても汚れた水分が更に奥まで染み込みカビが発生して悪臭の原因となります。
洗浄前